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スピーカーキャビネットに奇跡が起こった



 オーディオワールドの二日前にワインレッドカラーのピアノ仕上げの試作キャビネットが3組出来上がってきました。実は中国製なんです。それも人を介して注文したもので、私が直接製造担当者と打ち合わせる事無しですから、手元に届くまでは心配で仕方ありませんでした。

 何とか10万円以内で発売したいと思い、八方手を尽くしてみましたが、ピアノ仕上げのキャビネットだけでも日本で作るとなると5万円も掛かってしまい、到底不可能という事が分ってきました。ほんの少数のローゼンクランツファンだけに向けてでしたらそれも理解を得られるかもしれませんが、今回はもう少し裾野を広げ、多くの音楽ファンの方達に楽しんで頂く事が大きな目的です。それを達成する為にはコストの安い中国や台湾に眼を向けるしか方法が残されていなかったのです。

 物作りの大半は期待を下回る事の方が多いのですが、今回のその仕上がりは見事なもので本当に驚いてしまいました。恐るべしは中国の技術力です。喜んで良いのか、悲しむべき事なのか、ちょっと複雑な心境です。後で聞いた話ですが、その箱を作ったところは世界の名だたるブランドのスピーカーを一手に引き受けている会社だったのです。素晴らしい出来栄えの裏には、それなりの理由があったのです。

 当然その日の内に先ずワンセット組み上げました。スピーカーユニットに始まり、スピーカーターミナル、アッテネーター、どの部品も見事なほどにピッタリときれいに取り付けることが出来ました。前回の試作機(無塗装状態)では吸音材無しでは良い音にならなかったのですが、ダメ元でとりあえず吸音材無しで聴いてみる事にしました。

 それがいきなり、”とんでもない凄い音”が出たのです。一番初めの設計段階では吸音材無しで鳴るはずとの目論見でスタートしたのですが、途中でその計画は無理かなと気持ちが諦めの方向に向いていたものですから本当にビックリです。当初のイメージよりはるかに上回る音になったのには当の私自身が一番驚きました。


 スピーカー設計者が口を揃えて言うのは「キャビネットは鳴いてはいけない」です。

 理想は分りますが、物凄いエネルギー振動で動くスピーカーを取り付けてある限りは、

 ”どだい無理な事”と思っておりました。

 ですから今までの私の考え方としては、

 どうせ鳴くのなら一緒にハモッテ鳴く方法を見つけるのが一番現実的と・・・。


 それがこの箱は全くといって良いほど箱が振動しないのです。

 だからサイズからは信じられないような重低音が出るのです。

 そうした考え方に対して、どちらかというと否定的立場を取ってきた私が、

 実現してしまったのですから本当に皮肉な話しです。


 無茶と思えるほどボリュームを上げても、

 スピーカーユニットから歪んだ音が出ません。

 どこまでもスピーカーが芯を喰っているのでしょう!?。

 それも、これも、「音のカラクリ」の研究の賜物でしょう・・・。

 インシュレーターにおける、「振動の時間軸」の飽くなき追及が可能にした事と思っております。 


 この三次元スピーカーから出て来るのは音楽のエネルギーだけです。

 それ以外のまとわり付く付帯音は全くといってよいほど皆無です。

 こんな事は生まれて初めて経験する出来事です。

 正にスピーカーの革命が起こったといっても過言ではありません。


 この音の感覚はローゼンクランツのインシュレーターが、

 振動を瞬間にクラッシュアウトさせてしまう時の音と同じなんです。

 結論として言えるのは、箱が瞬間に振動をクラッシュアウト出来ているからに他ありません。

 MDFという本来なら私があまり好まない素材を使って実現してしまったのですから、

 本当に、この世の中何が起こるか分りません。

 それも初めての試みですから、正に”運も実力の内”の諺を地で行ったようなものです。


 私は声を大にして言いたい。

 世界中のスピーカー設計者に、

 このスピーカーの音を聴いて欲しい!。



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